愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「俺に従順な女になる?」
「……それ以外は?」
「ないね。俺の秘密、知ったんだから」
「別に知りたくなかった」
「知った後にそれを言われてもなぁ」
「あんたが勝手に話しただけでしょ!?」
ムカつく、本当にイライラする。
その頬を引っ叩いてやりたいくらい。
「忘れてない?
俺は川上さんの弱味をたくさん握ってるってこと」
ゆっくりと私の顎を持ち上げて、近い距離で無理矢理視線を合わせてくる。
先ほどのキスを思い出してしまった私は、咄嗟に視線を外した。
「あ、意識してる。
かわいいね」
「うるさい…」
「もう川上さんに拒否権なんてないんだよ」
クスクス笑う瀬野を見て、悔しくなって。