忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
「愛…。愛ちゃんがいいな」
ミルクを飲んでいる赤ちゃんが、チラッと忍を見た。
「あ、喜んでくれたようだね」
それから忍は赤ちゃんを仮の名前だが「愛」と呼ぶことにした。
空が言うように、赤ちゃんは夜中も容赦なく泣くし夜通し起きている時もある。
それでも忍は嬉しかった。
愛を見ていると幸せな気持ちになれる。
愛しくてたまらない。
そして愛を見ているとフェアディーを思い出す。
愛の開かれた目を見ていると、瞳が綺麗な緑色であるのを知ると、愛しさは募るばかりで。
このまま自分の子供として引き取りたいと忍は思っていた。
それから2週間過ぎた。
赤ちゃんの親の手がかりは一向に見つからず、どうやって待合室に置かれたのかも不明だった。
防犯カメラにも映っておらず。
社内の人間が置いたのか? とも推測されたが、誰も来ていない時に置かれている事から、それは可能性が低いと言われた。
このままだと赤ちゃんは、施設に送られることになっている。
経過を聞いた忍は、赤ちゃんを養女として引き取ると言い出した。
それを聞いた夏樹はちょっと反対した。
いくらなんでも60歳を過ぎている忍が、1人で赤ちゃんを育てることは絶対に無理だと言った。
しかし忍は断じて折れなかった。
とりあえず、赤ちゃんを養女として引き取れるかどうか、審査してもらう事にした忍。