忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~

 翌日。

 学校帰りの幸喜は、スーパーの前を通りかかった。


 スーパーから出て来た一人の女性を目にして、幸喜は歩み寄って行った。

 
 黒っぽい帽子を深くかぶり、マスクをつけている女性。

 茶系のセーターに黒いズボンに黒系のスニーカー。

 女性にしては背丈が高めの女性だ。



 
「お姉ちゃん」


 歩み寄った幸喜が女性に声をかけた。

 女性は立ち止まって幸喜を見た。


「お姉ちゃん」


 ニコッと笑いかけて来る幸喜を、女性はキョンとした目で見ている。


「ねぇお姉ちゃん。ちょっと耳かして」

 
 そう言われると、女性はかがんで幸喜に耳を近づけた。


「お姉ちゃん。妖精さんでしょう? 」

 小さな声で幸喜が言った。


「妖精…? 」


 女性はちょっと茫然と目を泳がせた。


「僕には見えるよ。お姉ちゃんの後ろに、綺麗な透明の羽が本当はあるの」


 茫然とした目で、女性は幸喜を見つめた。


 その目を見て、幸喜はなんだか胸がズキンを痛みを感じた。


「お姉ちゃん、名前教えて。僕は、宗田幸喜だよ」

「雪…上野雪(うえの・ゆき)です」

「雪? それって、本当の名前なの? 」

「本当の名前…そうだと思います…」

 
 ん? と、幸喜は首をかしげた。
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