忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
「お爺ちゃん。今日はハンバーグにしたよ。お湯で温めるだけだったから、簡単に作れたよ。ちゃんと、お姉ちゃんの分もあるからね」
食卓の上には、3人分用意してあった。
ハンバーグと野菜サラダ、そして美味しそうな炊き立てのご飯もある。
「愛は、ここに寝かせておけばいいよ」
忍がベビーバウンザーを持ってきた。
ベビーバウンザーに寝ると、愛はとてもご機嫌に笑っている。
「やっと家族が揃ったんじゃない? お爺ちゃん」
「ああ、そうだな」
忍とフェアディーは、そっと顔を見合わせて笑った。
「ねぇお爺ちゃん。僕、そろそろ家に帰るよ」
「え? もう帰るのか? 」
「うん。だって、お爺ちゃんの家族の邪魔したら悪いもん。それに、お爺ちゃんって僕が呼んでいたら。愛ちゃんも「お爺ちゃん」て呼ぶようになると、困るでしょう? 」
「うん。確かにそうだな」
「もうお姉ちゃんもいるから、大丈夫だよね」
フェアディーはちょっと照れたように笑った。
楽しい夕食を済ませて。
その夜はやっと再会できた、忍とフェアディーは一緒の布団でぐっすり休んだ。
愛も夜泣きをすることなくぐっすり寝てくれた。
それから2週間後。
幸喜は夏樹と空の元へ帰って行った。
夏樹は幸喜から全て話を聞いて、一件落着したならよかったと言っていた。
そして忍とフェアディーは、雪が眠っている納骨堂にお参りに来た。
永代供養をお願いしているとは言え、雪の周りには綺麗なお花が沢山飾ってある。
フェアディーはそっと手を合わせた。
「忍さん。雪さん、私が雪さんとして生きて行くことを許してくれましたよ」
「うん、そうだね。良かったよ」
冬季の寂しさから、雪の名前を与えられたフェアディーだったが、人間の世界で生きてゆくには役立ったようだ。
冬季から雪の詳しい情報や戸籍関係の書類がどこにあるのか教えてもらったフェアディーはさっそく忍との入籍に向けて手続きをとる事にした。