お嬢様と呼ばないで
第3章 いざ!女子高生

1 ドキドキ交通安全


「お爺様、おはよう」
「ああ、おはよう」
「ふわ?春はいくら寝ても眠いわね」
「『春眠暁を覚えず』だな」

そういって学園長の祖父の岩鉄は老眼鏡を掛けて新聞を読んでいた。

「そうか。春の交通安全週間か」
「何それ」
「お前はそんな事も知らんのか」

岩鉄は春は小学一年生などが通学するので1週間ほど交通安全運動を強化すると美友に話した。

「ふーん。私達も何かするのかな」
「生徒の代表が地域の人と通学路の交差点などに立って活動するぞ」
「大変そうね。でも私はきっと出番ないわ」

こんな美友は今朝も玄関を出ると、待っていた疾風と学園まで歩き出した。


「お前さ。ちゃんと眠れているか」
「うん。最高に寝ているわ」
「そうか?無理してるんじゃないか」

彼女にはハードな事を心配してる疾風はそっと顔を覗き込んだが、彼女は心配しないでと微笑んだ。

こうして二人は今朝も無事に歩いて学園までやってきた。
朝の教室では楽しいハイスクール生活を送りたい一心で各自必死に友達作りをしていた。

「あ。桜田さんもメッセージやり取りしよう」
「私?でも私は返事はしないわよ」
「なんで?」
< 113 / 127 >

この作品をシェア

pagetop