お嬢様と呼ばないで
美友のクラスでははーいという返事が出ていた。
そして今度はビデオを観る事になった。
それは被害に遭った人の悲痛な叫びであった。
この悲しい訴えを十分聞いた彼らはもはや歩きスマホをやる気を失せていた。
そして今度は、校庭に集合となり、みなぞろぞろと移動したのだった。
そこには古い国産車は停めてあり、ヘルメット装着の男性がいた。
ここで体育の山下が生徒に向かってワイヤレスマイクを持った。
『いいか、お前ら』
その時、キーーーン!とハウリングしたので彼はマイクを離し、再度試みた。
『これから』
キィーーーーン!とまたまたハウリングさせ生徒の爆笑を買った山下は、諦めて地声を張った。
「これから交通事故を再現するからな!よーく見とけ」
そして彼が笛を吹くとヘルメット男が自転車を漕ぎ出した。そしてそこへ車が突進していった。
「きゃああああ??危ないー」
「……美友ちゃん、声が多すぎ」
「だってすみれちゃん?いやああああ」
叫ぶ美友を嘲笑うように古い国産車は自転車男にぶつかり、被害者をボンネットに乗せた。
「きゃあああああ!」