お嬢様と呼ばないで

スクランブル

スクランブル!

「はあ、はあ、はあ」
「どうした。そんなに慌てて」
「用務員さん。はあ、はあ」

校門のそばを掃除していたイケメン青年の用務員、摘草遼は、ぜえぜえと息をする疾風に駆け寄った。彼は今からここにヘリコプターが着陸すると話した。

「なんだって?」
「近くで交通事故が遭って、ドクターヘリが来るんです」
「待ってろ。職員室に確認するから」

摘草は携帯で職員室に確認するとたった今そういう要請が来たと教頭が説明した。

「……校庭を使うんですか?でも今、体育をやってますよ?え、移動ですか」
「用務員さん、俺、行って説明して来ます」

疾風は返事も聞かずに走り出し校庭でサッカーをしていた体育教室の山下へ向かった。

「なんだお前。マラソンして来たのか」
「はあ、はあ……今からここにヘリが来るんです」
「何?ヘリだぁ?」

この時、校内放送で、アナウンスが流れた。

『校庭にいる者は今すぐ建物中に入りなさい。繰り返します。直ちに校庭を空けなさい』
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