お嬢様と呼ばないで
「法華経?」
「おい。美友!」
「あ?すみません……先生はプライベートを聞かれるのが嫌だって言ったのに」
さっそく事故を起こしショボンとしてる美友に日永は慌てて声を掛けた。
「それは違いますよ。趣味の話ですから」
「いいえ。差し出がましい行いでした。私、先生の事は二度と聞きません!」
そう言って口を結んだ美友を見て、疾風の隣の女子はそっと話しかけてきた。
「酒星君だっけ。彼女大丈夫?」
「済まない……まだ緊張してると思ってくれ」
疾風はそう言って目をつぶり背を椅子にもたれた。
これを見た日永は眼鏡をスッと押し上げながら美友を見た。
「桜田さんは後で職員室に来てくださいね。君が今年の職員室1号だ。さあ、次は皆さんです!」
あいうえお順だと日永は美友をチラと見て微笑んだので美友も機嫌を治していった。