お嬢様と呼ばないで
「……」
恥ずかしそうな彼に美友は三段腹の意味を尋ねた。
「こう、段々になっているだろう?これ」」
「確かに。段々になっているわ」
「ここが、1段、ここが2段だろ?」
「ここが3段目?痛くないの?」
「今は心が痛いな?」
「も、もう止めろ……笑わせるな」
その時、保健室のグリーンのカーテンがシャー開いた。
そこには密かに佐藤に腹にサラシを巻いてもらった山下が立っていた。
「山下先生?あの、やはりさっきの私のせいでケガを?」
「違う!そんなんじゃ無い!俺はそうだな……」
うまい言い訳が浮かばない坊っちゃん先生に、佐藤はセクシーに微笑んだ。
「フッフ。山下先生はね。お耳にゴミが入ったみたいでね。私がお掃除してあげただけよ?」
「そ、それだ。心配するな!」
「俺もして欲しいっす」
「あら?福岡君、君って授業中でしょう?」
美友に絡んだことを叱られた彼は、学校がつまらないんだと話し出した。
「勉強もわかんねえし。先生は怒っているし。親は弁当作るの面倒だって言ってるし」
「……だがな。せっかく親御さんが通わせてくれているんだから。俺だって頑張っているんだぞ?」
そんな山下の励ましにも彼は首を横に振った。
「でも、俺はどうせ出来損ないだから。何をしても」
「今、なんて言いました……」
いきなりここで美友が怒って立ち上がった。