……秘密があります
それ以上は無粋だと思ったらしい芳賀が上手く術を解いたので、羽未はきょとんと椅子に座っていた。
「はい、お疲れ、羽未ちゃん」
と芳賀がよく冷えたビールをくれる。
木陰の川で冷やしていたらしい。
「あ、ありがとうございます」
と羽未がそれを両手で受け取ると、阿佐子が、
「そいつに礼なんて言わなくていいわよ。
あんた、そいつのせいで、ペラペラ余計なことしゃべってたわよ」
と言ってくる。
ひいっ。
一体なにをっ?
とずっと持っていると凍傷になりそうなほど冷たいビールの缶を手に羽未は固まっていたが、芳賀は、
「いやいや。
悪い酒でしゃべり出す程度のことだよ」
と笑っている。
よく見れば、士郎と帯刀がなにやら揉めていた。