……秘密があります
 



 帰る間際、士郎もやってきてみんなで話し始めた。

「昔、うちの近所に自転車の乗り方が面白いオッサンが居てさ」

「ああ、居た居た」
とまだ呑んでいるさっきのビールの缶を手に羽未が笑う。

 そのとき、阿佐子が、
「ちょっと、誰かー。
 此処残ってるの食べちゃって~」
と鉄板を片付けるときに皿に移していたウインナーなどを手に、遠くの折り畳みテーブルから言ってきた。

「あ、もらおうかな」
と言いながら、みんながなんとなくそっちに行ったので、そこで話は終わり、ふう~と羽未はビールを手に川を見つめた。

 夕暮れの光が川面にキラキラ反射して綺麗だ。

 あー、今日も一日よく遊んだな~、と思ったとき、真横から声がした。

「どんな乗り方なんだ」

 うわっ。
 この人は残ってたのかっ。

 帯刀が横に座って大真面目な顔でこちらを見ていた。
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