……秘密があります
「あの、課長が思い出してしまったようなので、白状しますが。
 私、実は最初の夜、課長を殺してしまったんじゃないかと思ったんですよ」

「……白い花瓶でか」

 いえいえ、それだと殺人ですよ、と思いながら羽未は言った。

「前回はオートロックかも確かめないまま逃げてしまったので、課長、殺されてしまったのではないかと思って。

 社食で課長を見たとき、ホッとしました」

「いや、一回鍵をかけ忘れただけで必ず殺されるとか、問題あるだろ、そのマンション」
と言う帯刀に、

「ササミいるか?」
と言いながら、また、爪楊枝にさしたササミを手にした人物が現れた。

 士郎だ。
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