……秘密があります
「聞かないままだと、お前と上杉二人の秘密みたいじゃないか。
 俺も知りたい」

 いや、近所の人たちみんな知ってますけどね……と思いながらも、そんなこと言う課長、ちょっと可愛いじゃないですか、と思っていた。

「いえ、おじさん、石垣の上から助走つけながら、自転車に飛び乗るんですよ。
 それだけの話です」

「……危険じゃないか」

「そうなんですよ。危険なんですよね~。
 真似しないでくださいね」
と思わず言ってしまう。

 いや、帯刀の身長で助走つけて石垣から飛び乗ったら、おそらく、自転車を飛び越えてしまうと思うが。

「課長」
と羽未は帯刀を見つめる。
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