……秘密があります
この人、さっき、送り狼になろうかと言ってたような?
と思いながら、羽未は帯刀とともに、電車に乗り、駅から歩いて自宅に向かっていた。
……家に帰ってるよね? 私、
と思いながらも、帯刀から少し遅れて歩いていると、通り道にある繁華街で、若い男の酔っ払いたちが羽未にぶつかった。
「すみません~」
と言いながら、ヘラヘラ笑っている。
すると、少し前を歩いていた帯刀が戻ってきて、羽未の肩に手をやると、ぐい、と自分の方に引き寄せた。
男たちは帯刀を見て、あっ、すみませんっと早口に言って消えていった。
そちらを睨みながら、帯刀が言う。
「わざとだ、羽未」
「えっ?
そうなんですか?」
「以前、芳賀がやっていたから間違いない」
それは間違いなさそうですね~……。
「行くぞ」
と言って、帯刀はすぐに手を離したが。
羽未は、
今の、壁ドンより顎クイよりときめきました、課長、
と赤くなる。
だが、今、確実に自宅に送られていた。