……秘密があります
 そこを曲がったらもう家だ、間違いようがない、と思ったそのとき、帯刀が言ってきた。

「送り狼というからには、送らねばならないと思って家まで来たんだが。
 
 よく考えたら、お前のうちに送ってきたのでは、狼になれないじゃないか。
 親御さんにも失礼だし」

「えーと、あのですね。
 送るよ、と言って、途中で狼になるのでは……」

 いや、なって欲しいわけではないのですが、と思いながら羽未が言うと、

「そうだったのか。
 いや、もう目の前だな。

 今からなろうか」
と帯刀は言う。

 いや、もう無理かと思われますね……。
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