……秘密があります
 いやいや、なんでですか。
 たっぷり酔ってくれていいんですよ、と羽未は思う。

 なにか見張られている感じがしたからだ。

「羽未は呑むなよ、あんまり。
 お前、呑むとロクなことしないからな」

 お前に運転させればよかった、と言う。

 なんとなくだが、士郎は帯刀が羽未の初めての相手だと察しているような気がした。

 ……恐ろしいな、幼なじみの勘、と思ったところで気がついた。

 社内では他人のフリをしろ、という士郎のせいで、今までお互い名字で呼び合っていたのだが、気がつけば、士郎は羽未を名前で呼んでいる。

 が、芳賀たちからのツッコミはない。

 おや? と思って、なんとなく芳賀を見ると、
「いやいや、知ってた」
と察しのいい芳賀が言い、

「私も知ってた」
と前で阿佐子が笑う。
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