……秘密があります
「だって、いつか呑み会で同じテーブルだったとき、酔ってあんたたち、二人で小学校の林間学校の話してた」

「それで、お前の逆玉の野望の話も聞いた」
と芳賀は士郎に向かって言った。

 組んだ長い脚に手をかけ笑う芳賀は、なるほどみんなが騒ぐだけあって、なんとも言えない色香があって素敵だが。

 羽未は、
 いや、そのフェロモンしまってください、と思っていた。

 落ち着かないからだ。

 やっぱり私はちょっと無愛想な感じの人の方が好きかな、と思ったとき、頭には帯刀の姿が浮かんでいた。

 いやいやいや。
 すぐ課長が思い浮かぶとか。

 ベタ惚れみたいじゃないですか、と羽未は赤くなり、おのれの妄想を振り払う。

 そのとき、芳賀がふふふ、と横で不敵な笑みを浮かべた。
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