君のキスが狂わせるから
***
あれから一週間後、私は美桜先輩がセッティングしてくれたお店でランチをしていた。
電話があった日に曖昧に返事をしたものの、美桜先輩はそれをOKだと解釈したようだ。
食前酒のワイン一杯とサラダにパスタとコーヒーがついて1200円。
悪くない、年齢相応のランチだ。
美味しいはずのイタリアンなのだが、先輩の機関銃のような話を聞いていると、パスタの味がわからなくなってくる。
(心が落ち着かない。もっとゆっくり食べたいな……)
そんな気持ちでいると、彼女は空になったパスタ皿を横に置いて、嬉しそうな顔で一冊の雑誌を私に差し出した。
「なんの雑誌ですか?」
「いいから、その雑誌の2ページ目を見てみて」
フォークを置いて、言われるまま雑誌を開いてみると、驚いたことに深瀬くんの顔写真が載っていた。
自社製品であるカーアクセサリを手に、微笑んでいる。
「この子、瑠璃ちゃんの後輩くんでしょ」
「そうですけど。どうして彼が……」
言いながら改めてパンフレットの表紙を見ると、それは転職専用の雑誌だった。
どうやら会社では優秀な営業マンを募集しているらしく、好印象を得るために容姿のズバ抜けている深瀬くんを起用したようだ。
(深瀬くん企画なのに、営業課って書かれてある。容姿をうまく利用されてるんだ……)
微妙な気持ちで彼の笑顔を見ていると、美桜先輩が身を乗り出してきた。
「こんな若くてイケメンな新人が入るのが分かってたら、辞めなかったのになあ」
「もう、ゲンキンですね。でも彼、会社のホープですし、イケメンですし……もう本命の彼女いると思いますけど」
誰もが“いい男”と認定する男性は、入社早々に目をつけられ、あっさり結婚してしまうものだ。
そういうパターンを私は何度も目撃している。
だから、深瀬くんがまだ結婚の気配を全く感じさせないのを少し不思議に感じていた。
(まあ、今時結婚を急ぐ男性も少ないのかもしれないけど)
「これだから瑠璃ちゃんは……」
美桜先輩は呆れたように首を振って、私をじっと睨むように見据えた。
あれから一週間後、私は美桜先輩がセッティングしてくれたお店でランチをしていた。
電話があった日に曖昧に返事をしたものの、美桜先輩はそれをOKだと解釈したようだ。
食前酒のワイン一杯とサラダにパスタとコーヒーがついて1200円。
悪くない、年齢相応のランチだ。
美味しいはずのイタリアンなのだが、先輩の機関銃のような話を聞いていると、パスタの味がわからなくなってくる。
(心が落ち着かない。もっとゆっくり食べたいな……)
そんな気持ちでいると、彼女は空になったパスタ皿を横に置いて、嬉しそうな顔で一冊の雑誌を私に差し出した。
「なんの雑誌ですか?」
「いいから、その雑誌の2ページ目を見てみて」
フォークを置いて、言われるまま雑誌を開いてみると、驚いたことに深瀬くんの顔写真が載っていた。
自社製品であるカーアクセサリを手に、微笑んでいる。
「この子、瑠璃ちゃんの後輩くんでしょ」
「そうですけど。どうして彼が……」
言いながら改めてパンフレットの表紙を見ると、それは転職専用の雑誌だった。
どうやら会社では優秀な営業マンを募集しているらしく、好印象を得るために容姿のズバ抜けている深瀬くんを起用したようだ。
(深瀬くん企画なのに、営業課って書かれてある。容姿をうまく利用されてるんだ……)
微妙な気持ちで彼の笑顔を見ていると、美桜先輩が身を乗り出してきた。
「こんな若くてイケメンな新人が入るのが分かってたら、辞めなかったのになあ」
「もう、ゲンキンですね。でも彼、会社のホープですし、イケメンですし……もう本命の彼女いると思いますけど」
誰もが“いい男”と認定する男性は、入社早々に目をつけられ、あっさり結婚してしまうものだ。
そういうパターンを私は何度も目撃している。
だから、深瀬くんがまだ結婚の気配を全く感じさせないのを少し不思議に感じていた。
(まあ、今時結婚を急ぐ男性も少ないのかもしれないけど)
「これだから瑠璃ちゃんは……」
美桜先輩は呆れたように首を振って、私をじっと睨むように見据えた。