私立秀麗華美学園
カルラの「嫉妬大作戦」は、明日の昼休みに実行するつもりらしい。放課後咲が知らせに来て、作戦会議は咲とカルラの方でしてあるそうだ。

今日は何の妨害もなく、ゆうかと寮まで帰る。


「最近笠井と仲良いのね。今日も昼休み」

「ああ、なんかあいつ、零さんと知り合いらしくてさ」


仲良いのねには答えず、零さんが3人で喋りたいと言っていたから一緒に行った、という多少無理な設定をでっちあげる。


「でも授業でも一緒だし。笠井と何話すの?」

「……英語のこと」


は、1割ぐらいで、残りは全部ゆうかのことだけど。


「へえ。真面目」


簡素な返事をする横顔を見て、昼休みに笠井が言っていたことを思い出す。


「ゆうかは……ヨハンとは?」

「彼、言ってたより英語できるみたいよ。だけど、難しいテーマ選んじゃったから」


授業時間じゃ足りないのよねと続け、ゆうかはそこで話を打ち切った。

スピーチことはどうでもいいんだけどなと思いつつも尋ね直すことはできず、他の話題を探した。



そうして当たり障りのない会話を続け、寮に着いた。

エントランスでそれぞれの寮への階段の方を向き、じゃあ、と言って別れようとした時、ゆうかが思い出したように「あ」と言った。


「和人」

「ん?」

「ぎっくり腰って、相当辛いらしいね」


ぎっ…………


ゆうかはにっこり笑って言うと、背筋を伸ばして階段を上っていった。


血の気が引いていくのがわかる。

白咲の件を、完全に忘れていた。


「やっべー……」


嘘ついたことが、ゆうかにばれた。









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