私立秀麗華美学園
次の日の昼休み、俺と笠井はなぜか再び――なぜかって、笠井に強要されたからなんだけど――零さんのところに来ていた。

今回は昼ごはんを持って、藤棚に男3人が集まっている。これ傍からみたらどう思われるんだろうな。薔薇しか見てないけどさ。


「ということで、突撃はなくなったんです」


真剣に耳を傾ける零さんに笠井はカルラのことを説明した。

しかしなんだな、この間も思ったが、こいつほとんど無意識に口調使い分けてんだな。3人で話していても、零さんには敬語、俺にはタメ口以下、を一度も間違えていない。


「師匠に激励してもらったのに、すみません」

「あー別にいいんだよあんなことは。大事なのは勢いだからな」


職員用っぽい弁当をかきこみながら零さんは返事をする。この人、一応すげえ良家の坊ちゃんなんだよなあ……。


「そういや、今朝来る時は昨日の話したりしなかったのか?」

「今朝は、何だっけ、ああ、咲のこと話したな。ゆうかみたいな発言してたって話した。昨日の話はしてないな」

「してないなって、お前が持ち出せよな。話し合い進んだのかとか言って」

「でもヨハンの行動の理由もわかったわけだし、別によくないかそこは」

「いや気になるだろ普通」


そーか? と返事をすると、ため息をつかれた。いまいち噛み合わない俺たちを見ている零さんは、苦笑いをしていた。


「……なんで苦笑いを」

「いや別に? つーかお前、もしかして自分で弁当作ってんのか? まさかあの子が作ってるわけじゃねーよな?」

「まさかぁ。相部屋の男が超器用で超健康オタクなんですよ。ゆうか、料理苦手だし」

「へえ、そうなのか」


率直な感想らしく笠井が呟く。ちょっとだけ、言わなきゃよかったなと思った。


「当たり前だけど、ゆうかも完璧な人間ってわけじゃねえんだな」

「そりゃそーだろ」

「……でも、初めて知った」


口の片方だけをつり上げるあの笑い方をして、笠井は目を伏せた。









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