私立秀麗華美学園
ぐわっと頭を反らして天井を見上げる。5限は体育だ、弁当食わなきゃ、と思うものの食欲もあんまりない。
「でもまだ確定じゃねえんだろ。月城からも花嶺からも、何も」
「言われてはないけど、こっちから連絡もさせてくれないしなー」
「お前のところは、うちみたいなのとは違うだろ」
前を向くと進が頬杖をついて横を向いていた。「うちみたいなの」。こいつと直接笠井の家の話をしたことはなかったが、零さんとのやりとりのことや、クリスマスパーティーの時のことを思い出す。
「話せる親なんだろ」
「だと思ってたから、途方に暮れてるみたいなとこもあるけど」
「じゃあ今だけだきっと。誤解や面倒を防ぐため一時的に本人だけシャットアウトってのは、良くも悪くもよくある話だ。しばらくすりゃ、交渉のしようもあるだろ」
俺と違って、という一言を飲み込むように進は口を閉じる。そのままぼーっと眺めていると、心底気分の悪そうな顔をしてこっちを見た。
「黙って見つめんな気色悪ぃ!」
「いやあ、励まされてるー、と思って」
「さっさと飯食えよ。それか保健室だ。その顔色で体育やるつもりなのかどうか知らねえが」
「食いますよ」
そのままいつもみたいに、ぐちゃぐちゃ言い合いをしながら昼食をとった。途中からは進の、兄貴への愚痴ばっかりになっていた。
家のこととか会社のこととか詳しいことは言わないながら、兄貴の人格がどうのこうの要領良すぎて腹が立つだのなんだのと、相槌を打たなくても話し続けている。
考えてみれば、次男って点で、しかも兄が(基本的には)優秀って点で、立場は同じなんだなあと思った。
着替えて、体育に向かう。体育は既に年度の全てのカリキュラムが終わっていたので自由ということで、話し合った結果サッカーになった。チームに分かれてそこそこ真面目に参加する。半年ぶりぐらいに蹴ったサッカーボールは重たかった。
交代した時、元サッカー部員だからというわけのわからない理由で追加のコーンを取りに行かされた。体育教師の白咲はぎっくり腰もすっかり治って相変わらずだ。
体育倉庫まで来ると、同じクラスの女子の姿があった。同じく何か用具を取りに来たらしい。
割合派手なグループの、筆頭というか、リーダー的存在の百合子さんだ。他に2人ぐらいの姿が見える。
彼女らは倉庫に入るとラインカーを取り出した。鍵を閉めようとしたので、待って、と声をかけようとした時、3人の会話が耳に入った。
「でもまだ確定じゃねえんだろ。月城からも花嶺からも、何も」
「言われてはないけど、こっちから連絡もさせてくれないしなー」
「お前のところは、うちみたいなのとは違うだろ」
前を向くと進が頬杖をついて横を向いていた。「うちみたいなの」。こいつと直接笠井の家の話をしたことはなかったが、零さんとのやりとりのことや、クリスマスパーティーの時のことを思い出す。
「話せる親なんだろ」
「だと思ってたから、途方に暮れてるみたいなとこもあるけど」
「じゃあ今だけだきっと。誤解や面倒を防ぐため一時的に本人だけシャットアウトってのは、良くも悪くもよくある話だ。しばらくすりゃ、交渉のしようもあるだろ」
俺と違って、という一言を飲み込むように進は口を閉じる。そのままぼーっと眺めていると、心底気分の悪そうな顔をしてこっちを見た。
「黙って見つめんな気色悪ぃ!」
「いやあ、励まされてるー、と思って」
「さっさと飯食えよ。それか保健室だ。その顔色で体育やるつもりなのかどうか知らねえが」
「食いますよ」
そのままいつもみたいに、ぐちゃぐちゃ言い合いをしながら昼食をとった。途中からは進の、兄貴への愚痴ばっかりになっていた。
家のこととか会社のこととか詳しいことは言わないながら、兄貴の人格がどうのこうの要領良すぎて腹が立つだのなんだのと、相槌を打たなくても話し続けている。
考えてみれば、次男って点で、しかも兄が(基本的には)優秀って点で、立場は同じなんだなあと思った。
着替えて、体育に向かう。体育は既に年度の全てのカリキュラムが終わっていたので自由ということで、話し合った結果サッカーになった。チームに分かれてそこそこ真面目に参加する。半年ぶりぐらいに蹴ったサッカーボールは重たかった。
交代した時、元サッカー部員だからというわけのわからない理由で追加のコーンを取りに行かされた。体育教師の白咲はぎっくり腰もすっかり治って相変わらずだ。
体育倉庫まで来ると、同じクラスの女子の姿があった。同じく何か用具を取りに来たらしい。
割合派手なグループの、筆頭というか、リーダー的存在の百合子さんだ。他に2人ぐらいの姿が見える。
彼女らは倉庫に入るとラインカーを取り出した。鍵を閉めようとしたので、待って、と声をかけようとした時、3人の会話が耳に入った。