私立秀麗華美学園
「テストのあと、学園祭あんだろ? それでうちのクラスが劇になった場合、俺が勝てば笠井が主役は降りるってよ。笠井とゆうかが抜擢されることは、目に見えてるから」

「お前が負けたら?」

「別に、何も」

「……おかしいな。あいつには何のメリットもない賭けだ」

「俺にわからせたいんじゃねーの。実力の差を」

「十分すぎるほど把握していると思うが」


言われてみれば。
あいつも暇人だ。


「どーせ俺が勝てる確率なんて、3%ぐらいなんだろ」

「万が一勝つことがないとは言えない、といった程度じゃないか?」

「……それでも友達かよ」

「友達だからだ」


そうきっぱり言われると、少しむず痒い気分になる。

そりゃ、俺もまさか勝てるなんて思ってはねーけどさ。


「ゆうかには、黙っておくか?」

「まあ、一応」

「そうか。わかった。それじゃ、勉強再開するぞ」


また!?


「まさか、もう寝る気だったんじゃないだろうな」


だったんだけど……。
雄吾の瞳に宿る鋭い光を見たあとに、そう白状できる人間を俺は知らない。


学校にゆうかに雄吾。

三面楚歌だ。













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