私立秀麗華美学園
話を元に戻そう。


「どうする? 最近ご無沙汰だったし、受け付けましょうか」

「ああ。依頼者は、C組のの三松あや香。相手は同じくC組、堂本樹だそうだ」


ど、どうもと???

堂本と言えば咲と雄吾と同じクラスの、ちょっとっつーか大分暗そうな雰囲気の、あれだ、教室の隅で鉛筆かじってそうなイメージの。


「なんで、あんな……」

「和人」

「すんません」


ゆうかの鋭い一言は必ず俺を黙らせる。
と言っても俺は男にしちゃお喋りだし、雄吾は無口で場がもたない。というわけでそれは一瞬のことにすぎない。


「でもなんであんな暗い……もとい、真面目そうなやつ……」

「続き、昼休みにしましょ。もう15分よ。遅れちゃうわ」


俺の言葉をぶった切って言うなり、ゆうかはスカートを翻して駆け出した。俺はそれを慌てて追いかける。




俺たちが通うのは「私立秀麗華美学園」。
綺麗な漢字を並べただけのような予感がするこの名前、なぜか読み方は知られていない。


正門から見ると、校舎と花壇と渡り廊下は見事なまでのシンメトリー。

校舎は歴史の重みを感じさせる煉瓦造り。
もちろんそれはフェイクで、中には鉄筋コンクリートが入っている。
ことを希望する。

窓ひとつとっても、常に一点の曇りすら見られない。
窓枠は真鍮、ガラスは防音耐熱その他あらゆる能力を備えている。


とまあぱっと見どっかの城のような校舎。
その中央にはローマ数字を純金の針が差す巨大な時計があつらえられており、いかにも金持ち学園といった印象をうける。

通ってるやつが言うなよって話だけどな。


ちなみに初等部、中等部、高等部と分かれており、ありていに言えばVIP御用達の小中高一貫校というわけだ。



ものすごい余談になるが、『VIP』というのは『Very Important Person』の略称らしい。
驚愕の事実である。まさか、『超・大事な・ひと』の略だったとは。


そんなわけでここは警備体制も尋常でなく、寮制度ゆえに出かけるにも外出許可証が必要な学校なのである。
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