戦国に散った華

叔父は普段は岐阜に居を構えているらしく、清州はもう一人の叔父、信包が管轄することになった。



母は信包だったらと胸をなでおろし、自室に戻ってきてからあの時顔を上げてしまった私をこっぴどく叱った。



叔父とは二度と関わらない事、そして岐阜に戻るまでここに滞在している間は彼の部屋の周りには行かない事を強引に約束させられた。





「母上は、叔父上の事が嫌いですか?」




ストレートな私の問いに面食らったように母が困っていたのを思い出す。







「もちろん好きだった時期もある。小さい頃は優しい人だった。

でもいつからか兄上はもああやって、自分の欲望のためなら手段を択ばないようになった。たとえそれが私たちのような身内でも。

・・・・・変わってしまったのよ」


母はそう吐き捨てた。










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