。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「そもそも高校生を行かせた私たちも悪かったわ」と今度はそれとはっきり分かる深いため息。
「期待外れでしたね。戦力にならずすみません」
と嫌味で言ってやると、彩芽さんは軽く肩をすくめた。
「“お互い”だまし討ちみたいなことしてたし、それに関しては“ノーコメント”ね」
「つまり沈黙する―――と?」
響輔が目を上げると
「そうするしかないわ。君たちの反応からすると取引……言うより脅迫の方が近そうだし」
彩芽さんが声を低め
脅迫―――か。
まさにその通りだな。
朔羅の命はまさにあいつの手の中だ。
俺たちは下手に手を出せない。
だがあいつは『一週間』と提案してきた。
恐らく一週間の間に伊予原親子をどこかに移す予定だろう。
「タイガをマークしないでくださいよ。尾行でもしてヤツにバレたら、俺もあんたもただじゃ済まない」
釘を差すつもりで言うと
「分かってるわ。ここに来て約束を破ることはしない」
と彩芽さんは間髪入れずに答えて「私も一旦は退くわ。ヤツを検挙する充分な証拠もないし、今の状況じゃ令状も取れないしね」
と肩をすくめる。
話が分かる女で良かったぜ。