。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
その夜、エリナと長電話した後、リコとも電話をした。
エリナとの電話の内容は明日からの旅行のことで、最近引き籠っていたエリナは、安心して出かけられることだけでも楽しいようだ。始終、明日何着てこ~とか、メイクはどうする?と言うファッションのことで盛り上がった。
リコとは…
キョウスケ&イチも同行することに気遣ってこっちからあまり話題は振れなかったが
リコはキモ金髪と出かけられることを楽しみにしてるよう。
それもどうかと思われるが。
あの後……あたしたちとリコ&キモ金髪が別れた後もキモ金髪はリコに特に手を出してくることはせず、相変わらずリコを楽しませてくれてあっという間に家にたどり着いたって。
『先輩といるとねー、何かホント色んな辛いことが消えてく感じ。
お互いの口から『付き合う』とかそうゆう流れにはなってないけど、でもこの旅行でちょっとそれ以上の関係になりたいな~…って…
あ!でも変な意味じゃなくて!付き合うとか付き合わないとか…そうゆう意味だけ』
リコが『付き合って』ってキモ金髪に言えば絶対そうゆう展開に発展するだろうことは分かってた。戒から聞いたけど、キモ金髪もリコにマジみたいだし。
う゛~~ん…相手がキモ金髪ってことに若干ひっかかるが、それでもやっぱリコが幸せになってくれるのが一番だな。
「大丈夫だよリコ。リコはすっげぇ可愛くて、すっげぇいい子だから。あたしのドラム判押せるし」と勢い込むと
『ドラム判…??もしかして太鼓判のこと?』とリコは電話の向こうで苦笑い。
「あ、そうそう!そうとも言うね」とあたしは自分の間違いに恥ずかしくて思わず頭に手をやる。
「でも……さ、ホントの所はどうなの…?
キョウスケと居ると……しかも相手の女…イチを見たりしたらリコ、しんどくない?」
と、本当はこんなこと聞くつもりじゃなかったし、聞いた所であたしが何かできるわけでもないが。
『んー……そこのところどうなんだろう。あたしyouて実物見たことないし、キョウスケさんとどう喋ってるのかも分からないし…
でも凹むことはあっても悲しくならないと思う。キョウスケさんがちゃんと自分の意思で決めたことだもん。キョウスケさんの決心にあたしが何か言って動揺させたくない。
キョウスケさんのこと好きだけど、でもそれ以上に幸せになってほしい。
て思うあたし……変なのかな…』
リコの言葉は最後の方消え入りそうだった。
ううん、そんなことない。
思えばリコはあたしなんかよりずっと大人で、大切な人の幸せを願える大きく優しい人間だ。
それが本当の意味での愛―――
―――叔父貴が向けてくれるそれと同じ種類のもの。
何となくそう感じた。