。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
朔羅
もう一度呼ばれた。目を開けて状況を確認することもし辛くなってきても、あたしは必死に目を開けた。
戒が同じ様に水をかきわけて、あたしの方へ手を伸ばしている。
戒――――!
あたしも心の中で呼んだ。
戒の手があたしの指先に触れ、あたしは指を絡ませるより早く戒に手首を掴まれた。
力強い腕。
冷たい水の中―――
戒の手はあったかい。
そして戒はあたしに酸素を分け与えるつもりか、水中で唇を合わせた。
戒の酸素が送り込まれてきて、少しだけ楽になった。
―――
――――
ザバッ!
「ぷはっ!!」
あたしは戒に抱っこされたたまま、何とか水からはい出ることが出来た。
水深がどれほどだったのか分からないけれど、水圧のせいか肺まで圧迫された気がして、しばらく息をすることすら肺がきしんで息苦しい。
それでも人間、どこか生存本能てのがあるのか口に入った海水を吐き出し、激しく咳き込むとちょっと楽になった気がした。
戒も同じようで、あたしを抱きしめたまま咳き込んでいた。
「か、戒!大丈夫かっ!」思わず勢い込むと
「俺は大丈夫や。お前こそ……」戒は今にも泣きそうな感じで瞳を揺らし、あたしを抱っこしたまま片手であたしの頭や頬を撫でる。
「ごめんな、怖い思いさせて」
海水で張りついたあたしの髪を頬からはがしながら戒が申し訳なさそうに眉を寄せる。
「う、ううん!戒のせいじゃないし!でも良かったー!二人とも無事で」
あたしも戒の頬を包むと、戒はくすぐったそうに笑い
「あったかい」
戒はあたしの頬を手のひらで撫でながら微笑んだ。
あったかい…
あったかいよ、戒。あんたはこんなにもあったかい。
あたしたち
生きてる。