終わったはずの恋だった。
「みっきって、予想以上に無防備だよね」
満生の中の全ての勇気を振り絞って出した質問をはぐらかすような秋の答えだった。
「今の状況分かってる?暗闇で二人きりだよ」
突然の秋の言葉に満生の鼓動は跳ね上げる。
「みっき」
いつもの呼び名のはずなのに、秋の声に男性の色気を感じた。なんだろう、この空気感。友達同士の空気じゃないことだけは、恋愛経験の浅い満生にも分かる。
……警戒心がない訳じゃない。
かつて大好きだった人だ。
二人きりが嫌じゃないだけ。
「そんなに無防備だとキスするよ」
(……私になら、キスしてもいいの?)
からかい半分なのかもしれない。
でも、と暗闇という異空間が普段、小心者の満生を大胆にした。
「……してよ。できるなら」
すぐ横の腕を掴んだ。縋るように。ねだるように。
「え?」
満生の言葉に動揺したのは秋だった。ゴクリと唾を飲む音がする。
「……いいの?」
「いいよ。秋くんと、なら……」