終わったはずの恋だった。
「……もう一度、チャンスがほしい」
満生の願いが通じたのか、秋は満生の身体をフワリと抱きしめながら、耳元で囁く。
「チャンス?」
「デートをリベンジしたい……そうだな。今週末、ドライブ行こうか?」
「いいの!?」
「うん」
暗闇の中では満生の表情はハッキリ見えないけれど、花が開くような艶やかな笑顔が秋の瞼の裏に浮かんだ。
「次はインフルエンザにならないでよ?」
「なるかよ!こんな真夏に!」
満生が揶揄うと、秋はムキになって答えた。
「デートでちゃんと好きって伝えるから」
身体を離し、互いを見つめる。
まるで引力が働いたかのように、二人の唇が再び近づいたとき……。
カツカツカツ。
慌てたような足音が響き、二人の身体は止まった。
「あ!佐倉先生」
「あ!俺ラーメン作ってたんだった」
佐倉が大学に戻ってくることをすっかり失念していた二人は慌てて身体を離す。
秋はすっかり伸びきったインスタントラーメンを食べるフリをし、満生は意味もなく、髪の毛を手櫛で整えた。