お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「いい話なのだよ」

 真帆は頷く。けれど一番心配なことをまず先に口にした。

「でもおじさま、私の最終学歴は高校です。その辺りは大丈夫でしょうか」

 真帆は3年前まで四年制大学の法学部に通っていた。そのままいけば無事卒業式というところまではいったが3年生の終わりに父修二が他界した。
 父が生きていた頃も慎ましい暮らしでその中から真帆の学費をなんとか捻出していてくれたのだから、その父がいなくなって家計は一気に傾いた。結局、真帆は大学を中退せざるを得なくなり、その時学部に教えにきていた客員教授の茂木の事務所へ入れてもらったのだ。
 真帆が茂木の事務所へ入れたのは、茂木が真帆の成績が良かったことを知っていたからゆえのイレギュラーな措置で、本来であれば学歴は大卒以上でなくてはならなかったはずだ。
 母に話を聞いてから小鳥遊グループの会社の募集要項をインターネットで確認したが、いずれの会社も大卒の学歴は必須だった。
< 11 / 283 >

この作品をシェア

pagetop