お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
深まる疑念
「失礼します」

 コーヒーを持って副社長室へ入ると蓮は机に頬杖をついていた。それはまるで真帆が入ってくるのを待っていたかのようだった。
 真っ直ぐに真帆を見つめる蓮の視線に真帆の胸がどきりと音を立てる。

「お、おはようございます」

 頬が熱くなるのが自分でもわかった。

「あぁ、…おはよう」

 どこかうわの空で蓮が答える。
 そして真帆がコーヒーを置くのを待って、口を開いた。

「入江さん」

「はい」

 蓮は真帆を声をかけたものの、どう言葉を続けて良いかわからないというように思案している。
 そんな彼を真帆は不思議な気持ちで見ていた。いつも堂々としている彼にしては珍しいことだからだ。けれどそのうちにあることに気がついた。
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