お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
噂話
「そういえばあの子、さっき来たらしいよ。ほら、副社長の…」

 秘密めいた囁きが背後から聞こえて、真帆は思わず手を止めた。
 目をあげると向かい合わせに座っているゆかりも気がついたようで、声のする方をじっと見ている。
 真帆は来月行われる会社主催のパーティーの打ち合わせで総務課に来ていた。総務課の担当者はゆかりで、今は課のブースを借りて打ち合わせ中である。確か隣のブースでは、総務課の女性社員2人が大きな机を使って大量の資料を製本していたような…。

「見た?見たの?どんな子だった?」

 好奇心丸出しでもう1人の声が問いただす。聞かれた方はそれを鼻で笑った。

「うーん…普通?」

 ゆかりは、あちゃーとでもいうかのように真帆から目を逸らした。

「かわいいといえばかわいいけど…副社長の相手としてどうかと言われたらちょっと…遠山さんが言ってたみたいにただの秘書じゃないかなぁ?だとしたら逆に納得。恋愛対象じゃないからこそ一緒にいるところを目撃されるんじゃない?本当の恋人なら隠すでしょう?」

「なるほどね…。でもさぁ、あの例の一件以来副社長の秘書室には女はいなかったじゃない?それこそ希望者はいっぱいいたのにさ。なんで急に彼女が配属になったの?しかも入社早々…ずるくない?…なにか強力なコネでもあるのかしら」
< 194 / 283 >

この作品をシェア

pagetop