お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 好き勝手に言われてしまっているがあながち間違いでもない内容に真帆は顔が真っ赤になってしまう。
 ゆかりが顔をしかめて立ち上がろうとするのを、あわてて首を振って止めた。注意しようとしてくれる気持ちは嬉しいが、こんなところで出て行く勇気はなかった。

「確かに役員の秘書室にはコネ入社のお嬢様が多いからなぁ…でも、お嬢様って感じもしなかったわよ?」

 声の主は、真帆を思い出したのか、ふふふと笑って言った。

「お嬢様じゃないのかぁ。じゃあ例え噂が本当で、彼女と副社長が付き合っていたとしても将来はないわよね。副社長は社員にも気軽に声をかけてくれるとはいえ、まがりなりにも藤堂不動産の御曹司なんだから…結婚は無理でしょ」

「だろうねぇ…。そこのところ彼女はわかってるのかしら?なんだか慣れてなさそうな子だったけど。でも私だって副社長だったら遊び相手でもいいからお願いしたいわ!」

「やだぁ、彼氏いるくせにぃ!」

 2人は声をあげてひとしきり笑い合うと、作業を終えてブースを出て行った。ゆかりが申し訳なさそうに机に置いた手をもじもじとさせて真帆を見た。
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