お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
ついさっき知ったばかりの重大発表をもう一度聞いて真帆は黙り込む。
 その沈黙をどのように解釈したのか小夜子は話を続けた。

『藤堂家って言ってもそれなりに沢山いらっしゃるから取り越し苦労かと思ったんだけど、念のため小鳥遊のおじさまに聞いてみたのよ。おじさまは忙しい方だからお話できたのは今朝なんだけど…。それで…おじさまとお話してお母さんちょっと動揺しちゃって…あの、ごめんね真帆ちゃん。真帆ちゃんがお付き合いしてる、藤堂さんってお母さんがお見合いをお断りしたお相手の息子さんなのよ…』

 これもすでに知っている事実だ。真帆はうんと相槌をうちながらチラリと和正を見る。和正は電話の相手が小夜子だとわかっていて目を輝かせて真帆を見ている。
 この様子では小夜子の懸念は杞憂に終わるだろうと真帆は思った。
 駆け落ちをして縁談を潰すという失礼を働いたことを小夜子が気にするのは当然だけれど、和正はそんな昔のことは水に流しているようだから。
 とりあえず自分がこの事実を知っていること、それからおそらく母の思うような心配はないだろうことを告げようと真帆が口を開こうとするが、小夜子はまだ話を続けている。
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