お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
石川の息子は確か都内の店舗の店長をしているはずだ。今日のパーティにも出席している。

「なにはともあれ仲人はワシだと社長には約束させた。それは譲れん」

石川はそう言って胸を張る。
 真帆は微妙な気持ちのまま微笑んだ。
 あの朝和正が帰ってから、蓮とは結婚について真剣に話をした。
 蓮は、自分としては今すぐにでも結婚したいけれど真帆の気持ちを尊重する、いつまでも待つと言った。
 それが若い真帆の気持ちを慮ってのことだとはわかっていたが真帆には素直にありがたかった。
 もちろん真帆としても結婚は蓮と以外ありえないと思う。けれどどこかでまだ何かが引っかかっていた。
 出身のみを気にして釣り合わないなどとはもう思わないが、それを抜きにしても真帆と蓮には大きな差がある。
 まだ真帆は社員としても一人前ではない。せめてもう少し仕事をして自信をつけたいと言う真帆の頭を、大きな手で撫でて蓮は笑った。

「ありがとう、待つよ」と。

 それで真帆は安心したけれど、もしかしたら周りはそれを許してはくれないかもしれない。彼のような立場の人間の縁談は完全にプライベートともいえないのだから。
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