お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「おじさまの会社でも縁故採用なんて珍しくもなんともないそうよ。ちょうどいい話があるっておっしゃってたから近いうちにおじさんに会いに行きなさい」

 心配症の母にとっては真帆はいつまでも小さな子供なのかもしれない。真帆は心の中でため息をついた。

「…とてもありがたい話だけれど、おじさまの会社は優秀な人ばかりでしょう。業界違いの私が入るのは申し訳ないような気がするわ」

 いくらトップの紹介でも、全く使えない人物がきたのでは他の社員に迷惑だろう。そのような目に晒されながら働く自信もなかった。
 "おじさんには私から断っておくわ"と言いかけた真帆に小夜子は意外なことを言った。

「あら、まったくの畑違いってわけでもないんじゃないかしら、確か秘書って言ってたわよ。…秘書アシスタントだったかしら」

「秘書?」

 小夜子の言葉に真帆の心が少し動いた。秘書ならできるかもしれない。
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