お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
コピー用紙と蓮の気持ち
(まただ)

 蓮は心の中で呟いて、足を止めた。
 ある日の午後、役員室が並ぶ最上階の廊下で蓮はまたもや入江真帆に出くわしてしまった。
 副社長室は秘書室を通らなくても直接廊下に出ることができる。以前はあまり使わなかったこのドアを最近の蓮は多用していた。
 秘書室を通ると嫌でも出くわす新しいアシスタントを避けるためだ。
 子供っぽい意地だと自覚はしている。けれど、就職という手段を使ってまでもお見合いをしにきたという彼女にすんなりと諦めてもらうにはこれしかないと自分に言い聞かせていた。
 一方で、秘書室を通らない理由がもう一つあることに蓮は自分で気がつかないフリをしていた。
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