アラサー女子は甘い言葉に騙されたい




 「あ、周くん。これって、どうやって動かすの?」
 「これはこっちが横に移動でこっちのボタンが縦に移動なんです。じゃあ、一緒にやってみよう!」


 そう言うと、周は吹雪を後ろから抱きしめるように体をくっつけてきた。そして、吹雪の手を取り、2人の手でボタンを操作し始めたのだ。
 あまりの密着に、吹雪は驚き絶句してしまった。そして、緊張からか体が硬直してしまう。きっと顔も真っ赤になってしまっているだろう。


 「んー………横はこれぐらいっ!お、いい感じ。縦は………ここかな?そうすると、クレーンが降りていくんです」
 「………そ、そうなんだ…………あ………」


 耳元で聞こえる彼の声にドキドキしながら何とか返事をして、彼が操作しているクレーンを見る。すると、ぬいぐるみ少し持ち上がったが、すぐに落ちてしまった。


 「あぁ………残念!まだやれるので、次は吹雪さんやってみてください」
 「え…………そんな、む、難しいよ」



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