琥珀色の夕焼け、空を映した青
きっと貴方に恋をする
「ひどい……詐欺よ、執事さんが王太子様だなんて……」
フロアに戻った執事さん――いや、ナイジェル王太子殿下と三拍子を踏みながら、私はぐちぐち言った。先の出来事の衝撃が大き過ぎて、周囲から飛んでくる矢のごとき視線ややっかむ囁きも全然気にならない。
「僕は一度も執事だと名乗っていないが」
「せめて訂正してよ! もうやだ、恥ずかしさで死ねるわ」
「それは困る。まだ知り合ったばかりだ」
ほのかに笑いを含んだ声音に反撃してやる。
「じゃあ私が訂正するわね。王太子殿下はとーっても意地悪なお方ですぅ」
「ああ、よく言われる」
コウより強引なリード。なのに不思議とついて行きやすい。
「こんな並み居る美人から選り取り見取りなのに、私みたいな雑草を選ぶなんて。後悔したって知りませんからね」
「しない」
どきっぱり言い切る王太子殿下。真剣な青い瞳に、思わず頬が赤くなる。
「君に後悔させるかもしれない。でも、僕は後悔しない」
「それってすごく自己中な発言よね?」
「後悔させない努力はする」
真顔で言う王太子殿下に、思わず吹き出してしまった。同時に、後悔しないだろうな、という予感がしていた。