琥珀色の夕焼け、空を映した青
「勿論、無理強いするつもりは無い。嫌なら断ってくれて構わない。レシュノルティアの王室は儀式や仕来りが細かいから、それに縛られたくないならそう言って欲しい。ただ」
ほんの少し頬を染めて、王太子殿下は続けた。
「共に歩いていきたい。貴女と話して、初めてそう思えた」
「王太子殿下……」
「まだお互い知らない事ばかりで、急な申し出に戸惑うのも無理は無いと思う。でも、もし僕に望みがあるのなら――この後、共にフロアに戻ってはくれないだろうか」
その言葉に、私は聞き流していた大臣の説明を思い出した。
此度の晩餐会は、有り体に言えばお見合いだ。女王陛下が居られる奥の部屋へ連れて行かれるという事は、王太子に選ばれたという事を意味する。そこで陛下や重鎮達のチェックを無事クリアしたなら、その場で即婚約と相成る。晩餐会に出席する事自体、選ばれたなら嫁ぎますと言う意思表明だからだ。王太子と共に奥の部屋からフロアへ戻るという事は、婚約発表とほぼ同じ意味を持つ。
「どうして、私なんかを……? 正直に申し上げますが、国益的にも、容姿や教養的にも、フロアに居られる姫君達の方がずっと王太子様に相応しいのに」
涙目になってしまった私に、ナイジェル殿下はふと微笑んだ。初めて見る優しい表情に、胸の奥をきゅうと掴まれる。
強引で、無愛想で、時に毒舌で――なのに優しい人。
「貴女の純粋さに、惹かれたから」
王太子殿下の向こうに、弟君と並んでいるコウが見えた。言葉にし難い複雑な表情でこちらを見ていた彼は、私と目が合うと微笑んで小さく頷いた。
大丈夫です。迷う事はありません、姫様。
琥珀色の瞳がそう言ってくれていた。こんな時でさえ、コウは背中を押してくれる。色んな思いが込み上げ、私はぼろぼろ泣いてしまった。
ほんの少し頬を染めて、王太子殿下は続けた。
「共に歩いていきたい。貴女と話して、初めてそう思えた」
「王太子殿下……」
「まだお互い知らない事ばかりで、急な申し出に戸惑うのも無理は無いと思う。でも、もし僕に望みがあるのなら――この後、共にフロアに戻ってはくれないだろうか」
その言葉に、私は聞き流していた大臣の説明を思い出した。
此度の晩餐会は、有り体に言えばお見合いだ。女王陛下が居られる奥の部屋へ連れて行かれるという事は、王太子に選ばれたという事を意味する。そこで陛下や重鎮達のチェックを無事クリアしたなら、その場で即婚約と相成る。晩餐会に出席する事自体、選ばれたなら嫁ぎますと言う意思表明だからだ。王太子と共に奥の部屋からフロアへ戻るという事は、婚約発表とほぼ同じ意味を持つ。
「どうして、私なんかを……? 正直に申し上げますが、国益的にも、容姿や教養的にも、フロアに居られる姫君達の方がずっと王太子様に相応しいのに」
涙目になってしまった私に、ナイジェル殿下はふと微笑んだ。初めて見る優しい表情に、胸の奥をきゅうと掴まれる。
強引で、無愛想で、時に毒舌で――なのに優しい人。
「貴女の純粋さに、惹かれたから」
王太子殿下の向こうに、弟君と並んでいるコウが見えた。言葉にし難い複雑な表情でこちらを見ていた彼は、私と目が合うと微笑んで小さく頷いた。
大丈夫です。迷う事はありません、姫様。
琥珀色の瞳がそう言ってくれていた。こんな時でさえ、コウは背中を押してくれる。色んな思いが込み上げ、私はぼろぼろ泣いてしまった。