琥珀色の夕焼け、空を映した青
「……やはり、嫌だろうか?」
 優しく尋ねてくれた王太子殿下に、私は首を横に振った。心は決まった。涙を拭い、息を整え、膝を折って一礼する。
「身に余る光栄でございます、王太子殿下」
 ナイジェル殿下の表情がふっと緩んだ。目の端で、コウが切なそうに笑んだ。エミリア女王陛下は再びそばに来て、私の手を取った。
「良かったわ。お互いちゃんと通じ合えたようね。さ、こちらへいらして、フェリシア姫。色々お話を伺いたいわ」
 女王陛下は、噂通り気さくなお方だった。半刻ほど、お茶をしながらざっくばらんに歓談した。勿論、妃候補として相応しいか判断する重要なポイントを抑えてはいるのだろうけれど、そんな雰囲気は全く感じさせない。質問が上手で話しやすかった。とても親しみやすくて、気付けば私はレイヴァンズの政情から農場を始めた経緯まで、ありのままを話していた。
 一人でもいい、苦しむ人を助けたい。少しでも人の役に立ちたい。その想いを話した時、女王陛下は隣の男性と目を合わせて仰った。
「やだ、シエル。私、絶対この子をお嫁さんに欲しいわ」
「僕もそう思う」
 何故お二人がそう言ったのかは聞けなかったけれど、認めてもらえた事は嬉しかった。
「では、フェリシア姫をレシュノルティアへお迎えする事に異存のある方はおられますか」
 ナイジェル殿下のお父様が重鎮達に尋ねた。顔を見合わせ、目で会話した後、一番年長ぽい白髪頭の人が深い溜息をついて答えた。
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