琥珀色の夕焼け、空を映した青
「――姫様、どうしました?」
コウの声が突然低くなって我に返った。目を上げると、琥珀の瞳が私を覗き込んでいる。出会った時少年だったコウも今年で十八、あの頃と比べるとぐんと背も高くなり、男らしくなった。
「あ、ごめん。放心してた」
「大分お疲れなんですよ、姫様。畑仕事の後、遅くまで御作法の特訓してるから」
「そういうコウだって、付き人特訓頑張ってくれてるじゃない。覚えも早いし、私よりずっと王族ぽいよ」
「姫様について行けるような人が他に居ませんからね。それに」
コウはついと窓の外を見て言う。
「姫様の旦那になる人がどんな奴か、自分の目で確かめたいですから」
胸の奥が小さく痛んだ。雨上がりの夕空を見つめる、コウの横顔に滲む想いに気づいていない訳ではない。
『姫様にはどれだけ感謝してもし尽くせません。姫様のお陰で、俺も母さん達も生き延びられた』
残念ながら、コウの父親は回復しないまま亡くなった。母と弟妹達は今落ち着いた生活が出来ているという。
『俺、姫様の為なら命賭けます』
真剣な眼でそう言い、離宮に来てくれたコウ。彼のお陰で農場が軌道に乗ったと言っても過言では無い。
『姫様は、俺の全てなんです』
「……ごめんね」
思わず言葉が溢れた。
立場的にコウの想いには応えられない。何より、私はコウに恋心を抱いていない。
コウは一瞬目を伏せ、こちらを振り返った。
「俺が好きで選んだんです。姫様が謝る事じゃない」
切なくなるような笑顔。
「良い人に出会えると良いですね、姫様」
「そうね。その前に御作法のテストクリアしなくちゃ。ダンスが赤点なの」
「特訓するなら付き合いますよ。ワルツから行きますか?」
そう言って悪戯ぽく差し出されたコウの右手に、自分の右手を重ねた。
雨上がりの西の空が金色に染まる。窓から差し込む、琥珀色の光。
……ごめんね、コウ。
三拍子を数えながら私をリードしてくれる温かで力強い手に、心の中でもう一度謝った。
コウの声が突然低くなって我に返った。目を上げると、琥珀の瞳が私を覗き込んでいる。出会った時少年だったコウも今年で十八、あの頃と比べるとぐんと背も高くなり、男らしくなった。
「あ、ごめん。放心してた」
「大分お疲れなんですよ、姫様。畑仕事の後、遅くまで御作法の特訓してるから」
「そういうコウだって、付き人特訓頑張ってくれてるじゃない。覚えも早いし、私よりずっと王族ぽいよ」
「姫様について行けるような人が他に居ませんからね。それに」
コウはついと窓の外を見て言う。
「姫様の旦那になる人がどんな奴か、自分の目で確かめたいですから」
胸の奥が小さく痛んだ。雨上がりの夕空を見つめる、コウの横顔に滲む想いに気づいていない訳ではない。
『姫様にはどれだけ感謝してもし尽くせません。姫様のお陰で、俺も母さん達も生き延びられた』
残念ながら、コウの父親は回復しないまま亡くなった。母と弟妹達は今落ち着いた生活が出来ているという。
『俺、姫様の為なら命賭けます』
真剣な眼でそう言い、離宮に来てくれたコウ。彼のお陰で農場が軌道に乗ったと言っても過言では無い。
『姫様は、俺の全てなんです』
「……ごめんね」
思わず言葉が溢れた。
立場的にコウの想いには応えられない。何より、私はコウに恋心を抱いていない。
コウは一瞬目を伏せ、こちらを振り返った。
「俺が好きで選んだんです。姫様が謝る事じゃない」
切なくなるような笑顔。
「良い人に出会えると良いですね、姫様」
「そうね。その前に御作法のテストクリアしなくちゃ。ダンスが赤点なの」
「特訓するなら付き合いますよ。ワルツから行きますか?」
そう言って悪戯ぽく差し出されたコウの右手に、自分の右手を重ねた。
雨上がりの西の空が金色に染まる。窓から差し込む、琥珀色の光。
……ごめんね、コウ。
三拍子を数えながら私をリードしてくれる温かで力強い手に、心の中でもう一度謝った。