続・闇色のシンデレラ
「なるほど、いい判断だ。
どうせなら口がきけないようにしてやりゃよかったがな」



傷の癒えぬ心情を告白した凛に、志勇は冗談か本気か分からない言葉をかける。



「十分だよ、大事な娘も地位も何もかも無くしたあの人には、復讐する気力なんて残ってない。
おばさんに報復するより、志勇といる時間の方がよっぽど有意義」



強気に言い放つと、志勇はなぜか妖艶な笑みを見せ、わたしの腰に手を回す。

そして何を言い出すのかと思えば。



「お前、本当にいい女になったな……。
好きだぜ、お前のそういうところ」



しまった、こんな発言ひとつで志勇のセクハラスイッチを押してしまった。

“そういう合図”だと勘違いして顔を近づける志勇。

すかさずその唇を手のひらで押さえた。



「子どもたちの前でやめてくださる?」

「……」



わざとらしい言葉で露骨に嫌がると眉を曇らせ残念がる志勇。

そして憂雅くんを抱いて「フフッ……」と吹き出してしまった司水さん。



「司水」

「おや、八つ当たりですか?」

「……チッ」



司水さんを咎めようとするも、さすが元側近。

大人気ない志勇に我慢しろと表情で(さと)す。

しかし志勇も志勇で、不満のやりどころのなくなった彼は──
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