続・闇色のシンデレラ
「おい、凛太郎」


ふと目の前に座っていた凛を呼ぶ。


「はい」

「……」

「え?」


そして仏頂面で手を伸ばし、彼の顔の前で指先を止めると。





───ビシッ!






「っ!?痛ッ……!」



正座した凛に向けて、強烈なデコピンを放った。



「……志勇!?」

「若……」

「うわぁ……ビシッていったよ!凛兄ちゃんいたそう!」



八つ当たりとしか思えない行為に一同開いた口が塞がらない。



「な、何するの志勇!」



一方の志勇は何事もなかったかのように腰を上げる。



「壱華を助けたのは感心するが、いつまでも辛気臭い顔してんじゃねえ。
そんな軟弱な野郎を本家に置けるか」

「う……すみません」



凛はおでこを押さえて涙目になっている。

まったくこの狼は……体つきが自分より小さい子どもに何をしてるんだか。

そんな志勇を叱ろうとわたしも立ち上がった。



「八つ当たりもいいところね、志勇」

「あ?女々しいガキは嫌いだ。んなことより話がある」

「話?後でね。ごめんね凛、大丈夫?」



話があると切り出した志勇をかわし、凛の様子を伺おうとしたけど、腕を引かれ引き戻される。



「ほらまたそうやって……過保護なんだよお前は。いいから行くぞ」



行くぞって、部屋に乱入してきたのはそっちなのに。

強引な態度に思わずため息がこぼれ、お腹をさする。



「ハァ、本当にパパは嫉妬深いね~呆れちゃうね~?」

「……パパやめろ」
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