続・闇色のシンデレラ
まずは現状がどうなのか詳しく問診を受け、それから内診という検査をすることに。


内診検査というのは読んで字のごとく、身体の内部から赤ちゃんの様子を調べること。


ということで志勇には診察室で待ってほしかったんだけど、やっぱりこの旦那様は一筋縄じゃいかなくて。


最後までついていくという志勇をなんとか説得して内診室に入った。





「はい、これが確認した赤ちゃんの様子です。
6週目にして胎嚢(たいのう)は27mmで胎芽は7mm。
この時期だと胎芽が見えないことも多いけど、ものすごく順調ね。立派だわ」



検査は無事問題なく終わって、待ちくたびれてぶすくれた志勇に、撮ったばかりの赤ちゃんの写真をパソコンのディスプレイから見せる先生。


順調だって褒められて嬉しかったのに───



「どれだ」

「ほら、この白い影」

「は?豆みてぇ」

「それ初対面の自分の子に言うセリフ?」



内診室に入れなかったお父さんがいじけて、子供を豆とか言うものだから、ちょっとこれからが心配になった。


でも、先生の説明を聞いて、赤ちゃんの写真をじっと見つめる志勇の横顔は真剣で。


一緒に来てくれてよかったと心があったかくなった。


診察終了後、受付で母子手帳と記念に写真をもらって、志勇の再来で黄色い声の上がる産婦人科を、2人で笑いながら歩いていった。
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