続・闇色のシンデレラ
SIDE 絋香
「壱華ちゃん、ちょっとお邪魔するわね」
志勇がいない昼間こそ、大事な可愛い娘と話せるチャンスと本家の離れに足を向けた。
「……壱華ちゃん?」
けれど返事がないものだから、出かけてるのかしらと思って玄関を見回すと、ちゃんと彼女の靴は置いてある。
不審に思い、今は懐かしいその玄関にそっと足を踏み入れた。
「あら……」
探した彼女は、開けっ放しの寝室で丸くなってすやすやと眠っていたみたい。
可愛いと近づいてベッドに座ってみたけど、近くで見た壱華ちゃんの顔色は青ざめていて悪い。
「こんなにやつれて……」
きっとつわりが辛いのね。……だけど女ならほとんどが経験する道。
それにあなたなら、わたし達にそっくりのあなたたちなら乗り越えていける。
そう想いが伝わるように、「大丈夫、大丈夫」と頭をなでる。
「でも、お願いだから、わたしのようにはならないでね?」
それから、わたしが体験した『悪夢』を繰り返しませんようにと彼女に念じる。
……お腹の大きい妊婦を見るといつも思い出すの。あの痛みと赤い光景を。
そのお腹の中に新たな命を育む壱華ちゃんの手を握って、独り底知れない過去の恐怖に囚われた。
「壱華ちゃん、ちょっとお邪魔するわね」
志勇がいない昼間こそ、大事な可愛い娘と話せるチャンスと本家の離れに足を向けた。
「……壱華ちゃん?」
けれど返事がないものだから、出かけてるのかしらと思って玄関を見回すと、ちゃんと彼女の靴は置いてある。
不審に思い、今は懐かしいその玄関にそっと足を踏み入れた。
「あら……」
探した彼女は、開けっ放しの寝室で丸くなってすやすやと眠っていたみたい。
可愛いと近づいてベッドに座ってみたけど、近くで見た壱華ちゃんの顔色は青ざめていて悪い。
「こんなにやつれて……」
きっとつわりが辛いのね。……だけど女ならほとんどが経験する道。
それにあなたなら、わたし達にそっくりのあなたたちなら乗り越えていける。
そう想いが伝わるように、「大丈夫、大丈夫」と頭をなでる。
「でも、お願いだから、わたしのようにはならないでね?」
それから、わたしが体験した『悪夢』を繰り返しませんようにと彼女に念じる。
……お腹の大きい妊婦を見るといつも思い出すの。あの痛みと赤い光景を。
そのお腹の中に新たな命を育む壱華ちゃんの手を握って、独り底知れない過去の恐怖に囚われた。