続・闇色のシンデレラ
SIDE 志勇


おかえり、の声が聞こえない。



「壱華……?」



だいぶ日が落ちかけた時間帯に本家に帰ってきた。


平常なら壱華は出迎えてくれるのだが、その様子はない。



「壱華、どこだ?」



そんな些細な変化に恐れを抱く。


壱華と引き裂かれたあの1ヶ月はお互いの心に傷を残した。


その傷跡を埋めるように愛情と執着が強くなり、こんなわずかな変化に耐えられないほど弱くなった。


大切な対の姿が見えない。


不安に駆られ探して回る。





結局見つかったのは、一番奥の部屋。


壱華は寝室にひとり眠りふけっていた。
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