続・闇色のシンデレラ
「女の子?本家勤めの人間は男しかいませんが」

「あれ?じゃあ質問を変える。『若頭の女』のお見舞いに行けるような少女はいるか?たぶん15、16歳くらいの」

「……」



言い方を変えたことでピンと来た。女の子、少女だと言って分からなかったが。

……もしやそれは凛太郎では?



「この前病院に行った時、琴音が女の子に助けられたって言うんだ。
俺も不思議に思ったけど、若姐さんのいる病室に走っていくのを見たって言うから間違いないだろうと思って」



やっぱりかと思って腕を組んだ。

確かに凛太郎は歳の割に背が低く線が細い。そして中性的な顔立ちをしているから女だと見間違えるのは分かる。

声変わりも完全ではないから、少し声の低い女子だと言っても通用する。



「司水さん、心当たりはあるか?俺たちの性分だ、もらった恩はすぐ返したいんだ」

「ぶっ……ふふっ」

「……え?」



ふと、凛太郎はいっそ女装したらいいんじゃないとかと想像したら笑いが込み上げてきた。

その笑いを噛み殺し、兄妹に話しかけた。



「心当たりがあります。呼びましょうか、その『少女』」

「え、本当ですか?ありがとうございます」



表情を明るくさせて喜んだのは琴音。

その後、玄関先で待ち続けるのはなんだからも靴を脱いで上がってもらい、応接間へと案内して待機してもらうことにした。
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