続・闇色のシンデレラ
しかし、廊下を歩いていると偶然にも、お目当て彼が裏口から入ってきた。



「はぁぁ、散々な目にあった。もう絶対女子に噂話持ちかけない」



ぶつぶつ言いながら廊下にさしかかった凛太郎はこちらの存在に気がつくと、客人の目に見えないようにと裏口に引き返した。



「あ!凛兄ちゃん!」

「げっ……」



しかし、憂雅に声をかけられ注目を浴びたことで嫌そうな顔をする。

琴音は凛太郎のいる方を見つめ、そしてその瞳をさらに大きく見開いた。



「あ、あの時の!お兄ちゃん、探してた子あの子だよ!」

「え?……でも『凛兄ちゃん』って言ったぞ憂雅」

「確かに……あれ?」



まるで狐につままれたような顔をするふたり。

少女だと思っていた人物がまさか少年だなんて、理解するには時間がかかるだろう。



「凛、あなたもこちらへ来なさい。憂雅を抱いて私についてきてください」

「え?あ、分かりました」



とりあえず場所を移そうと凛に話しかけ、移動を始めた。
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