続・闇色のシンデレラ
志勇の背中の向こうに見えたのは2人の女性。

見た目からして看護師だと思う彼女たち。

うちひとりは顔が真っ青で震えていた。



「先ほどはお電話をいただいた際に失礼な対応をしてしまい、大変申し訳ありませんでした」



青い顔の中年の女性が深く頭を下げる。

この声、もしかしてわたしが病院に電話した時に対応した看護師かな。

だとしたら謝るべきはわたしであるはず。

そしてわたしは出産という人生での一大イベントを終え、今まで疲れ切って寝ていた。

それなのに寝ている状態のわたしはさて置き、旦那に謝罪するの?

社会経験がない私ですら、常識を疑うレベルだった。



「御託はいい」



志勇が声を発すると青い顔の女性は顔を強ばらせた。

そのたった一言の気迫にやられてしまったらしい。

だが相手は堅気の人間だ、志勇だって心得ている。



「その件についてはもういい。無事子供も生まれた、そちらの対応も速かった。病院の落ち度はない。
俺がそういう人間であるからと言って過度に怖がらなくていい。
今は妻が疲れきって寝てるんだ。休ませてやってほしい」

「か、畏まりました…失礼いたします」



そそくさと病室を離れていった看護師たちを見送り、志勇はふかくため息をついた。

……だいぶ感情を押さえ込んでたな、ほんとは頭に来てるんだとは思う。

彼は不意に振り返った。



「うおっ……」



わたしと目を合わせたとたん彼の口から絞り出すような驚きの声が。

そんな様子がおもしろくてにやりと笑うと志勇は声を張り上げた。



「起きてるなら言えよ!」
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